オペラ解説:「リゴレット」”Rigoletto" ヴェルディ作曲

シネマオペラ1982 全曲

指揮: Riccardo Chailly、監督:Jean~Pierre Ponnelle、

Luciano Pavarotti、Edita Gruberova、Victoria Vergara、Ingvar Wixell、Ferruccio Furlanetto 

 

とても良い映画。一見の価値あり。


 

「リゴレット」は「イル・トロヴァトーレ」「椿姫」と並んでヴェルディ中期オペラの3大傑作の一つですが、ヴェルディが生きていた頃は検閲が厳しく作曲家が思うまま自由に作曲できたわけではありません。

 

例えば娼婦を主人公とした「椿姫」は道徳的見地から時代を100年ほど昔に変更させられましたし、「仮面舞踏会」は政治的な配慮から舞台をアメリカに変更、キャラクターの名前や地位も改変しています。

 

「リゴレット」も例外ではありません。ヴェルディ はヴィクトル・ユーゴー(「レ・ミゼラブル」の作者)の「王は愉しむ」のオペラ化を考えたのですが、もともとこの作品自体がフランス国王のふしだらな所業を描いており政府から上演禁止をくらっていました。

 

そのためヴェルディや台本作家ビアーヴェらは台本を変更し、舞台をフランスからマントヴァ公国、主人公の王をフランソワ1世からマントヴァ公爵へ変更することで当局と折り合いをつけました。

 

「リゴレット」の時代設定を考えるとマントヴァ公のモデルはフェデリコ2世・ゴンザーガ公爵(ルネサンス期における辣腕の女性政治家イザベラ・デステの子供))になるということです。ただし台本にはマントヴァ公爵と書いてあるだけで名前は書いてありません。彼は「リゴレット」によって無節操で自己中な女狂いという汚名を着せられてしまい、なんとも可哀想、、、とはいえさほどの能力がある人ではなかったらしい。

 

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「リゴレット」の中に出てくるマントヴァ公は傲慢で女好きな利己主義者。そんな自分を高らかに肯定するくらいのどうしようもない人間で、彼を取り巻く貴族達も媚びとへつらいと悪意に満ちています。

 

主人公のリゴレットはそんな公爵に仕える道化師。自堕落な君主におべんちゃらを使い貴族たちにはあざけりを込めた毒舌を噛ませる誰からも嫌われる不具の男。しかしヴェルディは己に嫌悪感を抱きながらも娘への深い愛を合わせ持つ人間として描いています。

 

一方リゴレットの娘ジルダはそんなマントヴァ公の本性がわかっていてもひたすら彼を愛し続け、とうとう彼の身代わりとなり殺されてしまう純真な娘です。

 

ヴェルディは良きも悪しきもひっくるめ様々な人間のありようを見せるのみならず、リゴレットの心の葛藤やそれゆえに引き起こされる悲劇を美しい音楽で描いており、彼の人間に対する深い洞察力を感じ取ることができます。

 

特に第3幕の4重唱「美しい愛らしい娘よ」では、マッダレーナを誘う公爵の無節操な好色さ、恋愛駆け引きに長けたマッダレーナの余裕たっぷりな対応、娘に公爵の本性を見せて諭す父の親心、公爵の本性がわかっても彼をひたすら愛さずにはいられないジルダの一途な心、これら4者4様のありようが見事に表現されています。

 

ところで「リゴレット」には作曲者の意向を無視した音楽・セリフの改変があります。

 

・楽譜に書かれている音符を無視してより高音で歌う:

これはテノールのアリアでよくあることですが、バリトンにもあって「リゴレット」第2幕の終わりの二重唱や3幕の終わりは楽譜に書かれた音符より高く歌うバリトンが多いです。

 

・歌詞を変える:

第3幕で公爵はスパラフチーレに”Una stanza e del vino”「部屋とワイン」と歌うのが通例ですが、元々の楽譜には ”Tua sorella e del vino” 「お前の妹とワイン」と書かれているのです。元の台詞の方が公爵の人間性をよりはっきりと表しているのですが、変えられてしまいました。

 

参考:講演会「リッカルド・ムーティによるリゴレット作品解説」 (東京・春・音楽祭2019.3.28)

 

リッカルド・ムーティーはこれらのすでに慣習となったような改変を嘆きヴェルディの意図を大切にしなければならないと主張しています。

 

ついでに一つ。

マントバ公爵はほとんどのテノールが歌い得る役です。しかし「女心の歌」の最後のハイHが案外難しいらしい。と言うのも、例えばボエームの第1幕のハイCは失敗しても後で挽回可能だが、リゴレットのハイHは最後の幕で歌われるため失敗したら挽回不可能だから、だそうです・・・某有名テノールの発言(カウフマンではありません)。

 

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前奏曲

 

このオペラではリゴレットに嘲笑されたモンテローネ伯爵が吐く「呪い」がリゴレットに付きまといます。その呪いは前奏曲の中で繰り返される同音の連打で表現されています。

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮


 

第1幕 第1場 マントヴァ公爵の宮殿内広間

 

マントヴァ公の宮殿では今日も無節操な夜会が催されている。彼はチェプラーノ伯爵夫人に目をつけていて、自らの好色さを隠そうともせずにあっけらかんと歌うのが下の動画、「あれかこれか」"Questa o quella"。歌うのはルチアーノ・パヴァロッティ

Questa o quella per me pari sono

あれかこれか、私にとっては皆同じ

 

A quant'altre d'intorno d'intorno mi vedo;

私の周りにいるもの全て;

 

Del mio core l'impero non cedo

我が心の帝国を委ねることはない

 

Meglio ad una che ad altra beltà.

誰かの美しさが他より良いこともあろうが。

 

La costoro avvenenza è qual dono

彼女らの魅力は贈り物

 

Di che il fato ne infiora la vita;

運命が私の人生にもたらしてくれるのだ;

 

S'oggi questa mi torna gradita

今日はあの女を愛すが

 

Forse un'altra forse un'altra doman lo sarà.

おそらく明日は別の女になるだろう。

 

un'altra, forse un'altra doman lo sarà.

おそらく明日は別の女に。

 

La costanza, tiranna del core,

耐えず心を抑圧する、

 

Detestiamo qual morbo qual morbo crudele.

私はそんな病を嫌う、なんて残酷な病気なのだろう。

 

Sol chi vuole si serbi fedele;

そうしたいと願うもののみが(そんな病に)忠実であればいい;

 

Non v'è amor se non v'è libertà.

自由がなければ愛もない。

 

De' mariti il geloso furore,

夫の嫉妬に燃えた怒り;

 

Degli amanti le smanie derido;

恋人の欲望を笑い飛ばす;

 

Anco d'Argo i cent'occhi disfido

アルゴスの100の眼に挑むのだ

 

Se mi punge se mi punge una qualche beltà.

もしそれが私を駆り立てるならば、もしその美しさが私を駆り立てるならば。

 

Se mi punge una qualche beltà.

もしその美しさが私を駆り立てるならば。

 

公爵

Partite? … Crudele!

お帰りになると?…そんな残酷な!

 

チェプラーノ伯爵夫人

Seguire lo sposo M'è forza a Ceprano.

夫に従って。チェプラーノへ帰るのを強いられているのです。

 

 

公爵

Ma dee luminoso

しかしあなたは輝いておられる

 

In corte tal astro qual sole brillare.

この宮廷で、太陽のごとく輝いている星なのですよ。

 

Per voi qui ciascuno dovrà palpitare.

ここにいる全ての者があなたに心をときめかす。

 

Per voi già possente la fiamma d'amore

すでにあなたへの愛の炎が

 

Inebria, conquide, distrugge il mio core.

私の心を酔わせ、征服し、破壊しているのですよ。

 

伯爵夫人

 

Calmatevi …  心をお静めください。

 

DUCA

la fiamma d'amore

あなたへの愛の炎が

 

Inebria, conquide, distrugge il mio core.

私の心を酔わせ、征服し、破壊しているのですよ。

 

 

公爵&伯爵夫人

Calmatevi …Calmatevi …  心をお静めください。

 

Per voi già possente la fiamma d'amore

あなたへの萌えるような愛は強烈に

 

Inebria, conquide, distrugge il mio core.

私の心を酔わせ、征服し、破壊しているのですよ。

 


 

そのうちに廷臣のマルッロが入ってきてリゴレットに愛人がいる、と周りの人々に告げる。一方リゴレットはチェプラーノ伯爵を嘲って彼の恨みを買い、マルッロら廷臣とチェプラーノはリゴレットへの復讐を相談する。

 

そこへ公に娘の名誉を汚された、とモンテローネ伯爵が怒鳴り込んでくる。しかしリゴレットは彼を嘲る。捕らえられた伯爵は「お前、蛇よ、父親の心の痛みを嘲笑うものは呪われよ!」とリゴレットを呪う。

 

第1幕 第2場 暗い夜。袋小路の行き止まりとリゴレットの家

 

リゴレットは自分に向けられた呪いに不安を覚えている。家の前の袋小路で殺し屋のスパラフチーレに殺人を請け負うと誘われるが断る。しかし「あいつとおれは同類だ、おれは口で嘲笑いあいつは短剣で黙らせる」のだと考え、自分が不具者で道化でしか生きられないこと、自分を嘲笑う廷臣達に憎悪の念を抱いていていることを歌う(「リゴレットのモノローグ」"Pari siamo")  

 

歌い終わると家の扉をあけ娘のジルダを抱きしめる。ジルダは彼の命・生きがいである。彼は娘の身の安全に気を使い教会以外への外出を許さずジルダを家に閉じ込めている。彼は召使に彼女の身を守るよう言いつけて家を去る。

 

しかし教会で偶然にジルダを見かけた公爵は彼女の住処を突き止めている。彼は身分を隠して貧しい学生グアルティエール・マルデと名乗り彼女に会いにゆく。公爵に愛情を抱いているジルダと公爵は熱い二重唱を歌うが誰かの気配がしたため公爵は急いで去る。

 

その後ジルダが彼を想う恋心を歌い上げるのが有名なアリア「慕わしき御名」"Caro nome"。歌っているのはドラマティックなコロラトゥーラ歌手だったジョーン・サザランド 。

Gualtier Maldè... nome di lui sì amato,

グアルティエール マルデ、、、慕わしい方の名前

 

Ti scolpisci nel core innamorato!

心に刻み込まれたわ!

 

Caro nome che il mio cor Festi primo palpitar,

その名前は初めて私の心を喜ばせる

 

Le delizie dell'amor Mi dei sempre rammentar!

あなたは愛の喜びをいつも私に思い起こさせる!

 

Col pensier il mio desir  A te sempre volerà,

私の想いはいつもあなたのもとへと飛んでゆく。

 

E fin l'ultimo mio sospir,

私の最後のため息も、

 

Caro nome, tuo sarà.

慕わしい名前、あなたの名前。

 

Col pensier il mio desir  A te sempre volerà,

私の想いはいつもあなたのもとへと飛んでゆく。

 

E fin l'ultimo mio sospir,

私の最後のため息も、

 

Caro nome, tuo sarà.

慕わしい名前、あなたの名前。

 

Col pensier il mio desir A te sempre volerà,

私の想いはいつもあなたのもとへと飛んでゆく。

 

A te volerà, fin l'ultimo mio sospir, fin l'ultimo mio sospir,

あなたのもとへと飛んでゆく、私の最後のため息も、

 

Caro nome, tuo sarà. Caro nome, tuo sarà.

慕わしい名前、あなたの名前

 

il mio dessir a te ognora volerà.

私の想いはいつもあなたへと飛んでゆく。

 

fin l'ultimo sospiro tuo (caro nome tuo) sarà.

最後の吐息は (愛しい名前の) あなたのもの。

 

Gualtier Maldè! Gualtier Maldè!

グアルティエール マルデ!

 

Caro nome che il mio cor Festi primo palpitar,

その名前は初めて私の心を喜ばせる

 

E fin l'ultimo mio sospir,

私の最後のため息も、

 

Caro nome, tuo sarà.

慕わしい名前、あなたの名前。

 

Gualtier Maldè!  Gualtier Maldè!

グアルティエール マルデ!

 


 

一方彼女をリゴレットの愛人と思い込んでいる廷臣らはリゴレットの家の前でジルダをさらう計画を立てている。そこへリゴレットがやってきたため、近くにあるチェプラーノ伯爵邸から伯爵夫人をかっさらう、と彼を騙し彼に目隠しをさせ、ジルダの誘拐の手助けをさせる。

 

リゴレットが真相に気付いた時、すでにジルダはさらわれていた。彼は「ああ、呪いだ!」と叫ぶ。

 

第2幕 公爵の宮殿の広間

 

公爵はジルダがさらわれたことを聞いて嘆く(「あの娘の涙が見えるようだ」"Parmi veder le lagrime")。しかし廷臣らが誘拐してきた娘がジルダであることに気が付き上機嫌で彼女が閉じ込められている部屋へ向かう。

 

一方リゴレットは娘を探しに宮殿へ来る、ジルダが宮殿内にいることを知る。彼は廷臣らが誘拐した娘はリゴレットの娘であること告げ、娘を返してくれるように頼むのがバリトンの有名なアリア 「悪魔め、鬼め」"Cortigiani, vil razza dannata"。下劣な廷臣達を脅し、そして哀願するまさにドラマチックなアリア。

日本語字幕付き レオ・ヌッチ


 

そこにジルダが現れ、今までの経過をリゴレットに話す。その時モンテローネ伯爵が牢屋へ引っ立てられてゆき、それを見ながらリゴレットは公爵への復讐を誓う。後半の彼とジルダの二重唱は特に有名で(歌手達がうまく歌うと)良くビスされる。(下の動画はビスしている)

レオ・ヌッチ&オルガ・ペレチャッコ Arena di Verona 2013


 

第3幕 夜。ミンチョ川沿いの寂しい場所、居酒屋兼宿屋がある。

 

事件から何日も過ぎ去った。リゴレットはジルダをスパラフチーレの宿屋に連れてゆき、いまだに公爵を愛する娘に真実を見せようと外から内部の様子を覗かせる。そこに公爵が入ってきて「部屋(女)と酒」を要求し、超有名なアリア「女心の歌」"La donna è mobile" を歌う。(このアリアはやっぱりパヴァロッティでしょう)

 

La donna è mobile

女は気まぐれ

 

Qual piuma al vento,

風の中の羽のよう

 

Muta d'accento

言うことは変わるし

 

E di pensiero.

考えも変わる。

 

Sempre un amabile

いつも愛くるしく

 

Leggiadro viso,

しとやかな顔、

 

In pianto o in riso

泣いても笑っても

 

È menzognero.

嘘つきさ。

 

La donna è mobile

女は気まぐれ

 

Qual piuma al vento,

風の中の羽のよう

 

Muta d'accento

言うことは変わるし

 

E di pensiero. E di pensier. E di pensier.

考えも変わる。

 

È sempre misero

いつもかわいそうなのは

 

Chi a lei s'affida,

女を信じる奴、

 

Chi le confida

女に秘密を打ち明けてしまう

 

Mal cauto il core!

無用心な心だ!

 

Pur mai non sentesi Felice appieno Chi su quel seno

しかし女の胸の中で満足できない奴は

 

Non liba amore!

愛を味わうことはできない!

 

La donna è mobile

女は気まぐれ

 

Qual piuma al vento,

風の中の羽のよう

 

Muta d'accento

言うことは変わるし

 

E di pensiero. E di pensier. E di pensier.

考えも変わる。

 

 

 

スパラフチーレ

È là il vostr'uomo …viver dee o morire?

あいつはここにいるが、、、生かしておくのかい殺すのかい?

 

リゴレット

Più tardi tornerò l'opra a compire.

後で仕事を終えるために戻ってくる。

 


 

そこにスパラフチーレの妹マッダレーナがやってくる。公爵、マッダレーナ、ジルダ、リゴレットがそれぞれの心境を歌う非常に有名な4重唱 「美しい愛らしい娘よ」"Bella figlia dell'amore"。

 

下の動画はLuciano Pavarotti, Isola Jones, Joan Sutherland, Leo Nucciというレジェンド歌手たちが歌っている。サザランドの夫Richard Bonyngeの指揮。この時サザランド は61歳!

Metropolitan Opera Gala 11 January 1987

4重唱:それぞれの想いを要約して書いています。

 

公爵 

(マッダレーナを口説いている)

美しい娘よ、あなたの魅力の虜になっている。

あなたの一言が僕の心の痛みを慰めてくれるのだ。

こちらにきて激しく脈打つ我が胸を感じておくれ

 

DUCA

Bella figlia dell'amore,

Schiavo son dei vezzi tuoi;

Con un detto sol tu puoi

Le mie pene consolar.

Vieni e senti del mio core

Il frequente palpitar.

 

マッダレーナ 

(公爵を気に入っているが恋愛駆け引きには慣れている)

あらあら!笑っちゃうじゃないの、

喋るだけなら楽なもんよ。

私はそんな手管をよく知っているのさ。

あたしはそんな馬鹿げた冗談には慣れているのよ。

 

Ah! ah! rido ben di core,

Che tai baie costan poco

Quanto valga il vostro gioco,

Mel credete, so apprezzar.

Son avvezza, bel signore,

Ad un simile scherzar.

 

ジルダ

(公爵の本性を知り嘆いている)

ああ、そんな愛の言葉をあの悪党は私にも語りかけたわ!

裏切られた不幸な私の心、

悲しみのあまり張り裂けないで。

 

Ah, così parlar d'amore

A me pur l'infame ho udito!

Infelice cor tradito,

Per angoscia non scoppiar.

 

リゴレット

(娘に公爵の本性を見せ、復讐を企んでいる)

泣いても何にもならない…

あいつが嘘を言っているのがわかったろう。

急いで復讐するために私に任せろ。

生かしてはおかない。

彼をどうするか私はよく知っている。

  

Taci, il piangere non vale...

Ch'ei mentiva sei sicura.

Taci, e mia sarà la cura

La vendetta d'affrettar.

Sì, pronta fia, sarà fatale,

Io saprollo fulminar.

 

私の言うことを聞いて家に帰れ。

お金と馬を引いて

私が用意した男物の服を着て

ヴェローナに向けてすぐに立ちなさい。

 

明日そこで会おう。

 


 

リゴレットはスパラフチーレに公爵を殺すよう依頼する。しかし公爵を気に入った妹に命乞いをされ、今夜嵐の中訪れた旅人を代わりに殺すことにする。それを物陰から聞いたジルダは愛する公爵を助けるため身代わりとなって殺されてしまう。

 

嵐が過ぎ去りリゴレットが戻ってくる。スパラフチーレは死人の入った袋をリゴレットに渡す。喜びに震えるリゴレットの耳に公爵の歌う「女心の歌」の断片が聞こえてくる。驚いたリゴレットが袋を開けると中にいるのは死にかけたジルダ。「愛する彼の代わりに私が死ぬ」と言って絶命した娘を抱き抱え、彼は「ああ、呪いだ!」と叫んで崩れ落ち、幕が降りる。

 

 

おまけ:

有名な4重唱に触発されたリストは「ヴェルディ作曲リゴレットによるコンサート用パラフレーズ」という超・超絶技巧を要する難曲を作曲します。楽譜を見てるだけでその難しさに目が眩みそう。しかし名人が弾くとなんとも素晴らしい。ピアノ演奏はリストの再来と言われたGyörgy Cziffra(ジョルジュ・シフラ)。


 

(2021.09.13 wrote) オペラ解説に戻る。