「ディアナ・ダムラウ」 (Diana Damrau)

"Nicolas Teste, Bariton; Diana Damrau, Sopran; David Gimenez, Dirigent" by VIPevent 

 

ディアナ・ダムラウの左側にいるのがご主人のニコラ・テステ


ドイツ出身のコロラトゥーラ&リリックソプラノ歌手。1971年生まれで今年50歳になります。若い頃ゼッフィレッリの「椿姫」の映画を見てオペラ歌手を志したそうです(1)。しかし音楽大学在学中声帯に浮腫を発症し、手術をせずに直すのに1年半かかったそうです(1)。健康そのもののような方ですが若い頃は大変だったのですね。

 

彼女はバイエルン州にあるGünzburg生まれ。25-6歳の頃同じくバイエルン州生まれの2歳上のカウフマンと「魔笛」で共演しました。その時の彼女はローラースケートを履いたパパゲーナ役だったそうで(2)。

 

彼女の特技と言ったらやはりコロラトゥーラでしょう。「魔笛」の「夜の女王のアリア」は絶品で、今聴いても高度な技術を軽々と操り力強く激しい歌い方で印象的です。そのほか「ホフマン物語」のオランピアの「人形の歌」も素晴らしい。

 

そういえば、彼女はMET2007/08シーズンでの「魔笛」公演で、異なる公演ごとにパミーナと夜の女王を歌うという離れ業をやってのけたそうです。

「魔笛」の「夜の女王のアリア」

超高音3点Fが何回も繰り返される激難アリア。しかも激しい怒りを目一杯表さなければならないので"か細く軽い”コロラトゥーラ歌手では不満足感が残ってしまいます。

 

「ホフマン物語」のオランピアのアリア 楽譜に指定されているよりさらに高度なコロラトゥーラを駆使し演技も大きく入れて歌っている。


彼女のレバートリーは非常に広いです。ちょっとあげただけでも、

ドイツオペラでは「コジ・ファン・トゥッテ」「ドン・ジョヴァンニ」「フィガロの結婚」などのモーツアルト作品や

「アラベラ」「ナクソス島のアリアドネ」「カプリッチ」「薔薇の騎士」などのR.シュトラウス作品。一方

「清教徒」や「アンナ・ボレナ」「連隊の娘」「オリー伯爵」などのベルカントオペラや

「リゴレット」「椿姫」などのヴェルディもの。そして

「真珠採り」「ロメオとジュリエット」「ユグノー」「ホフマン物語」などのフランスオペラも歌っています。

 

フランスオペラをよく歌うのはフランス人のバス・バリトン歌手ニコラ・テステがご主人だからかもしれません。息子さんが二人おられるそうですが、夫婦仲も良さそうで日本でもデュオコンサートをやっています。コロナがおさまったら又お二人で来日して歌っていただきたいです。

 

彼女はコンサートも頻繁に行っています。iltrovatoreの記憶に残っている最近のコンサートといえばヨナス・カウフマンと一緒に歌った「ヴォルフ歌曲集」ツアー。ヴォルフの歌曲は一般的に不人気です。しかしカウフマンと軽妙な演技も入れながらコミカルに歌って人気を博しチケットの売れ行きも上々でした。

 

このツアーの成功に気を良くしたのか、2022年に再びカウフマンと一緒にリサイタルツアー「ブラームスとシューマンによる愛のうた」をやる予定です。

 

彼女はいつも明るくて元気いっぱい。体つきも顔つきも健康優良児そのもの。元気が良すぎていつも舞台の上をパタパタと右へ左へ行ったりきたり、歌っている時もいつも手や体を動かしています。ですからしっとりとした役どころ、例えば「フィガロの結婚」の伯爵夫人を歌う時などでは「そんなに動かないで落ち着いて歌ってよ」と思う時もありますが、それでもiltrovatoreの好きな歌手です。

 

(1). Diana Damrau, wikipedia 4 June 2021, at 20:39 (UTC). https://en.wikipedia.org/wiki/Diana_Damrau

(2)「ヨナス・カウフマン テナー」小学館p77   

 

(2021.12.15 wrote)  番外地へ戻る