ヨナス・カウフマンの2022年を振り返る

 

iltrovatoreによる公演の記録及びコメント

 

猛威を奮ったコロナウイルスですが、ワクチンの普及やウイルスの弱毒化、そして多くの人々が感染したため (ある程度の)集団免疫ができた等により欧米においてコロナ禍は過去のものとなってきた感があります。欧米の人々はコロナと共生する日常を受け入れたのでしょう。

 

現在では歌劇場も規制を外すところが多くなり、歌劇場もなんとか通常ペースで運営できるようになってきました。

 

カウフマンも活動再開!のはずだったのですが、7月にコロナに再感染し、ROHでの「カヴァレリア・ルスティカーナと道化師」のダブルビルはすべてキャンセルになりました。

 

その結果。今年のカウフマンのオペラ公演出演回数は演奏会方式を含め30回、そして12月の最後の3公演をすべてこなすことができればリサイタル・コンサートは24回となります。

 

1月〜 2月  

「 ベンジャミン・ブリテン、ピーター・グライムズ」  ウイーン、ウイーン歌劇場、2022.1.26, 29 & 2.2, 5, 8

Jonas Kaufmann, Lise Davidsen, Bryn Terfel

 

まだまだコロナウイルス感染が多かった時期。この公演途中でもコーラスメンバーが多数感染し、あわや公演中止となるところだったそうです。しかしなんとか代役を見つけることができ公演は無事開催された、とかいう逸話があります。カウフマン初ロールで好評でした。


 

3月

「プッチーニ、トゥーランドット(コンサート形式)」 ローマ、サンタ・チェチリア国立アカデミア、2022.3.12

Sondra Radvanovsky, Ermonela Jaho, Jonas Kaufmann, Michele Pertusi、指揮 Antonio Pappano

 

ローマで収録されたこのCDは来年発売されます。収録のあと一回だけ催されたコンサート形式の公演でした。今回の「トゥーランドット」にはアルファーノの補筆部分も入っています。大いに楽しみ。


 

3月〜4月

リサイタルツアー :「ブラームスとシューマンによる愛のうた」

ディアナ・ダムラウ、ヨナス・カウフマン、ヘルムート・ドイチェ

 

ミュンヘン、 Isarphilharmonie、2022.3.21

エッセン、Philharmonie、2022.3.23 

フランクフルト、Alte Oper Frankfurt、2022.3.25

Baden-Baden, Festspielhaus、2022.3.27

ロンドン、Barbican、2022.3.29 

ルクセンブルク、Philharmonie、2022.3.31 

パリ、Philharmonie、 2022.4.3 

ベルリン、Philharmonie、2022.4.5 

マドリッド、Auditorio Nacional de Musica de Madrid 、2022.4.7 

バルセロナ、Palau de la Música Catalana (カタルーニャ音楽堂)、 2022.4.9 

ハンブルク、Laeiszhalle、 2022.4.11 

ウイーン、楽友協会、2022.4.13 

 

以前やったヴォルフ歌曲のリサイタル・ツアーが好評で、本人たちもまたやりたいと言っていたのが現実になりました。


 

4月

プッチーニ、トスカ 、ナポリ、Teatro di San Carlo、2022.4.20, 23, 27, 30

Oksana Dyka, Jonas Kaufmann,  Gabriele Viviani 


 

5月

ワーグナー、ローエングリン、 メルボルン、Arts Centre Melbourne 2022.5.14, 17, 21, 24 

Emily Magee, Elena Gabouri, Jonas Kaufmann, Marco Vratogna その他

 

オペラ・オーストラリアは過去にカウフマンを招待して演奏会式のオペラ公演を開催しています。今年はとうとう完全な舞台での公演を成功させました。羨ましい、、、、 オペラ・オーストラリアは生き残りを賭けて頑張ってます。


 

6月

★リサイタル、 ウイーン、Theater im Park 2022.6.8

 

7月

★コロナ感染でROHのダブルビル全キャンセル

そういえば、彼が初めてコロナに感染したのも同じROH、「フィデリオ」公演の時だった、、、、

 

★リサイタル、ミュンヘン、バイエルン歌劇場2022.7.23

 

★オープンエアーコンサート、 Benediktbeuern修道院 2022.7.28

 

年後半は次回。      (2022.12.25 wrote) 


8月

オープンエアーコンサート、 Schloß Salem, Lake Constance、2022.8.4 

 

リサイタル、 ザルツブルク音楽祭、 ザルツブルク、Grosses Festspielhaus、2022.8.7 

 

ベートーベン、フィデリオ(コンサート形式)

GSTAAD FESTIVAL:スイス、Gstaad、Gstaad Festival Tent 2022.8.11

GRAFENEGG FESTIVAL:オーストリア、Grafenegg 2022.8.13, 14 

SINÉAD CAMPBELL-WALLACE, Jonsa Kaufmann, Matthias Winckhler, Falk Struckmann, Andreas Bauer Kanabas 

✮ Glamorous opening with "Fidelio" in Grafenegg


オープンエアーコンサートwith Rachel Willis-Sørensen、Wiesbaden、Kurpark、2022.8.21 

 

オープニングコンサート、Vaduz Classic Festival 2022、リヒテンシュタイン、ファドゥーツ、2022.8.25 

 

 

ヴェルディ、アイーダ、 Arena di Verona、 2022.8.28  

Olesya Petrova, Maria José Siri, Jonas Kaufmann, Abramo Rosalen, Sebastian Catana

 

皆様すべてが待望む"Celeste Aida"は期待通りでアリアの最後はいつもの完璧な「ピアニッシモ、クレッシェンド、再びピアニシモ、モレンド」(参考iltrovatoreによる「清きアイーダ」考)。近年アレーナで聴いたものの中で最高と言っている評論家もいました。何よりも伝統的で豪華な衣装が素晴らしかった。観客を夢の別世界に連れて行ってくれたことでしょう。


 

9月

ピーター・グライムス、バイエルン歌劇場、ミュンヘン、2022.9.21, 24, 27, 30 

Jonas Kaufmann, Rachel Willis-Sørensen、Christopher Purves

 

10月

リサイタル、ドイツ、Bad Wörishofen、Kursaal 2022.10.4

 

西部の娘、ミュンヘン、バイエルン歌劇場、2022.10.16, 20, 23, 28 

Malin Bystrom, Claudio Sgura, Jonas Kaufmann 


11月〜12月

ジョルダーニ、アンドレア・シェニエ、ウイーン歌劇場、 ウイーン、2022.11.30, & 12. 9

Jonas Kaufmann, Carlos Alvarez, Maria Agresta

大いなるマンネリ、オットー・シェンク演出。カウフマンは何年か前にも同じ演出でウイーンで歌っています。今年度はコロナ感染以外順調に歌っていましたが、ここでこけました。公演を2回キャンセルしました。


 

プッチーニ、トスカ、スイス、チューリッヒ歌劇場 2022.12.15, 17

サンドラ・ラドヴァノフスキー、ヨナス・カウフマン、ブリン・ターフェル 

 

カウフマンは若い頃チューリッヒ歌劇場のアンサンブルメンバーとして歌っていました。ここでご当地人気テノールとなり、以降世界のトップ歌劇場に進出することになります。しかし10年以上この歌劇場のオペラに出演していませんでした。今回の出演は地元のオペラ愛好家に「よくぞ帰ってきてくれた」という思いを抱かせるのではないでしょうか。

 

ただし最後の公演を風邪でキャンセル。


★クリスマスコンサート、ミュンヘン、Isarphilharmonie  2022.12.23

 

End-of-year concert with Kirill Petrenko and Jonas Kaufmann、ベルリン、2022.12.29, 30, 31


今年発売のCD, DVD

 

“The Tenor” CD/Download

 

“In seieme-Opera Duets“ Jonas Kaufmann & Ludovic Tezier  LP/CD/Download


 今年受賞した賞など

 

オーストリア、 "Kammersänger" の称号を授与された

 

バイエルン州より、BAYERISCHEN VERFASSUNGSORDEN (バイエルン州憲法勲章) を授与された

 

The inaugural Corelli100 Prize受賞

 

Corelli100賞は今年から新たに創設された賞で、フランコ・コレッリ(1921.4.8 - 2003.10.29)生誕100年を記念しTeatro del Muse財団によりコレッリの生誕地アンコーナで与えられます。コレルリは美男子で背も高く、スピントなテノール声が魅力的で今でもファンの方は多いでしょう。この賞の第一回目の受賞者がカウフマンというのは納得です

 

Premio Internazionale Casa Museo Enrico Caruso受賞

 

”International Classical Music Awards 2022、Video Performance“受賞 受賞対象 "Die Tote Stadt" 

 

Opus Klassik Awards 2022

“Singer of the Year”受賞 受賞対象 “Liszt:Freudvoll und Leidvoll”

”Opera Recording of the Year”受賞 受賞対象 "Die Tote Stadt"

 

今年は“Singer of the Year”と”Opera Recording of the Year”の2重受賞です。ところで"Die Tote Stadt"は昨年もすでに2つ受賞しているのです。なんと人気だこと。


 

Gramophone Classical Music Awards 2022 “Opera & Recording of the Year”受賞 受賞対象 "Die Tote Stadt"

 

Choc de Classica award受賞 受賞対象 “Insieme.”

 

(2022.12.30 wrote) おたく記事にもどる