「ヴェルディが建てた憩いの家に住む引退した音楽家達の生活」を改変して「オペラと映画」紹介を加えました。

 

ヴェルディの憩いの家 と「カルテット!人生のオペラハウス」~「リゴレット」2012

「カルテット!人生のオペラハウス」は俳優のダスティン・ホフマンが監督した映画。映画「ハリー・ポッター」に出てくるホグワーツの副校長ミネルバ・マクゴナガルを演じたイギリスの有名な俳優マギー・スミスが出演しています。

 

引退した音楽家達のために設立された老人ホーム、ビーチャムハウスで引き起こされる騒動を描いた映画なのでオペラを歌うシーンがたくさん入っています。その中でも私が感動したのは最後のコンサート場面。流れるのは「美しい愛らしい乙女よ」。

 

静かにたたずむ夜のビーチャムハウスを背景に「リゴレット」の有名な4重唱「美しい愛らしい乙女よ」が流れてきますが、歌っているのは彼ら俳優達ではありません。声を聞けば一発でわかるルチアーノ・パヴァロッティ。そしてジョーン・サザランドとシェリル・ミルンズというレジェンド歌手達!最盛期の彼らの輝かしい歌いぶりに、美しきものもいつかは終わりを迎えるのだ、、、パヴァロッティもサザランドももう去ってしまったのだ、と感慨を覚えます。

 

これが映画に採用された4重唱の元版かなあ、と思います。素晴らしい!(Verdi: Rigoletto / Act 3 - "Bella figlia dell'amore" · Dame Joan Sutherland · Huguette Tourangeau · Luciano Pavarotti · Sherrill Milnes · Martti Talvela · London Symphony Orchestra · Richard Bonynge(デッカ)

 

さて、このビーチャムハウスのモデルとなっているのがヴェルディの建てたCasa di Riposo per Musicisti。「引退した音楽家のための憩いの家」です。

ヴェルディの建てたCasa di Riposo per Musicisti

 

"File:Casa di riposo Giuseppe Verdi.jpg" by Paolobon140 


「リゴレット」を作曲したヴェルディはイタリアの偉大な作曲家ですが、自らを農民と称し農業にも励み、経済に明るく、自らの作品に関わる商談はしっかり、がっつりで、その結果非常に裕福になりました。しかし経済的に悲惨な状況にある年とった音楽家達を見て心を痛め、私費を投じて年取った彼らのための憩いの家を建てました。

 

この「憩いの家」は現在でも存在しており、たくさんの元音楽家達がヴェルディからの恩恵を受け続けています。ここに暮らす元音楽家達と映画に出てくる様々な人々が重なって見えます。まさに「人生のオペラハウス」でしょうか。

 

またヴェルディはこの「憩いの家」に葬られていて、ヴェルディの墓の脇には最初の妻マルゲリータと2番目の妻ストレッポーニの墓があり、晩年の愛人シュトルツの墓は墓所の入り口のバルコニーにあるそうです (「ジュゼッペ・ヴェルディ」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』2020年4月23日(木) 08:59。

 

(2020.05.27 wrote, 2021.3.16) おたく記事に戻る