ウルグアイ出身のバスバリトン。1972年生まれ。アンナ・ネトレプコの元パートナーでした。ネトレプコのお子さんティアゴ君の実の父親です。
1998年にオペラリアで男性歌手として一位を獲得しています。その後は欧米の一流歌劇場で引っ張りだこの人気バスバリトンです。
カウフマンとラチヴェリシュヴィリが出演したバレンボイム指揮スカラ座の公演「カルメン」ではエスカミーリョを歌っていました。「ファウスト」「ファウストの劫罰」「メフィストフェレ」でのメフィストフェレス、「トスカ」のスカルピア、「愛の妙薬」のドゥカマーラ、など数多くのフランス、イタリアオペラを歌っています。
ROH「ファウスト」
ついでですが、上の動画はマクヴィカーの素晴らしい舞台もちょっと見ることができるので気に入っています。シュロットは悪魔的な役をやるのがうまいです。
一方、モーツアルトの「フィガロの結婚」のフィガロやアルマヴィーヴァ伯爵なども歌っていますし、「ドン・ジョバンニ」のタイトルロールとレポレッロの両方を歌います。彼のレポレッロをMETで聞いたことがあります。その時は主役ジョバンニが突然の代役だったためか、レポレッロは正に主役にみえました。いい加減で無責任、金には眼がなく、しかし主人のやり口を客観的に批評する従者を歌と演技で余裕たっぷり、軽々と表現していました。
ROH「ドン・ジョヴァンニ」
ところで彼は、
「もし俺がジョバンニをダークサイドにつながる悪魔ととらえるならば、いつの日か最強の力を持った者と対等に戦うチャンスを求める男として演じる。しかしカサノヴァとしてドン・ジョバンニを演ずるならば、— 紳士的で 女たらしを強調する。そうするとモーツアルトとダ・ポンテが描いた全ての場面がすっきりと意味をなす。」(bachtrack)と言っています。
iltrovatoreの場合、レポレッロ、エスカミリオなど「い〜かげん」又は「横柄」な役で彼の歌を聴く事が多いので、以前はこの手の歌しか歌えない人かも、と思っていましたが、いいえ、いいえ。CD「アイーダ」で聞いた彼のランフィスは堂々として威厳に満ちた祭司長でした。
彼の声は深々として良く響きます。歌の表現力も演技力も秀逸です。その上姿形も美しく存在感抜群、まさにスターと言える方です。
ちなみに彼はオペラで主役ではない、いわゆる「ちょい役」を軽んじてはいけないと考えており、学生だった頃の経験談として、
「先生は 「ちょい役 (small roles) など存在しない。狭量なアーティスト (small artists) がいるだけだよ!」(bachtrack)と教えられたと語っています。
(2020.11.17 wrote, 2021.3.16 revised) 番外地に戻る