「カルロス・アルバレス」 (Carlos Álvarez)


1966年スペイン生まれ。1990年代初めから世界的に活躍しているバリトン歌手 (1)。スカラ座、ROH、オペラバスチーユ、テアトロ・レアル、バイエルン歌劇場、ウイーン歌劇場など世界のトップクラスの歌劇場で歌い続けています。

 

彼は多くのヴェルディ作品、例えば「運命の力」のドン・カルロ、「オテロ」のイヤーゴ、「仮面舞踏会」のレナート、「イル・トロバトーレ」のルーナ伯爵、「リゴレット」や「マクベス」のタイトルロール等で有名です。

 

しかしそれ以外にも、「セヴィリアの理髪師」のフィガロ、「ドン・ジョヴァンニ」や「フィガロの結婚」のタイトルロール、「ロベルト・デヴェリュー」のノッティンガム公爵、「トスカ」のスカルピア、さらに「カルメン」のエスカミーリオ、「アンドレア・シェニエ」のジェラードなど、モーツアルトをはじめとしてベルカントやヴェリズモ系のオペラまで、幅広い役柄を歌っています (1,2)。

 

アルバレスは精悍な顔つきや体つきに加え、その歌い方はエネルギッシュで男性的。芝居も上手なので迫力があります。Youtubeにも上がっていますが、ザルツブルクでのイヤーゴ(2008)は印象的です

 

彼は7歳より学校の合唱団に入って歌い始め、長じて医学を4年学んだ後、歌手に転向しました(3、4)。親は歌手のような不安定な職業につくことを、「自分で決めたことだから」と暖かく了承してくれたそうです(4)

 

1990 年にマドリードのサルスエラ劇場でデビューした彼ですが、その歌手人生は山あり谷ありで、特に大変だったのは声帯の損傷(pre-cancer状態)で手術をした時です(3、4)。

 

2008年オペラのリハーサル中に違和感を感じ高音域が出なくなり、右の声帯に損傷が発見されたのです。結局手術をし、それから舞台に出たり出なかったりが3年間続きました。さらに2010年には損傷の再発が確認され更なる手術をしたのです。(3、4)

 

キャリア半ばの最も仕事が充実する時期の病気ですから、肉体的および精神的に相当大変だったと思われます。このような苦節を乗り越え2011年に舞台に復帰し、それ以降は問題ないそうです(3、4)。

 

結局現在まで30年以上歌い続けているわけですが、その結果、グラミー賞、カンヌ・クラシック賞、リセウのゴールドメダルなどたくさんの賞を受けているとともにウイーンの宮廷歌手にもなっています(2)。またマラガ大学名誉博士号も持っておられるようです(2)。

 

1. Carlos Álvarez (baritone) wiki This page was last edited on 8 August 2023, at 07:49 (UTC). 

2. Carlos Álvarez, Lyric Art   

3. Q & A: Carlos Álvarez on ‘Tosca,’ ‘Viva La Mamma,’ the Teatro Real & His Beginnings, Operawire 2021.7.21 By Mauricio Villa  

4. Carlos Álvarez - Screaming Divas (Season 1, Episode 37)

 

(2024.10.10 wrote) 番外地に戻る