ジョン・オズボーン (John Osborn)

 

1972年生まれ、現在49歳のアメリカ人テノール。フローレスやブラウンリーと同い年です。1994年MET National Council AuditionでのWinnerの一人。

 

彼はベルカントオペラの分野で有名です。(「ベルカントオペラ」とは19世紀前半に活躍したロッシーニ、ドニゼッティ、ベルリーニなどが作曲したオペラを指します。単に「ベルカント」と言った場合は歌唱テクニックを意味します。) なんでも低いA音からハイF(!)まで出るそうです。

 

METのビューイングで「湖上の美人」のRodrigoを歌っている彼を聞いたことがありますが、輝かしく充実した高音、素晴らしいテクニックで印象に残ったテノールです。

 

Guillaume Tell "Asile héréditaire - Amis, amis"「先祖伝来の住処よ」〜「友よ」

 

ハイC連発、激ムズアリア。「連隊の娘」のトニオ役も大変だが、こちらのArnold役の方がずっと難しい。何回か繰り出されるハイCの後、最後の最後長く伸ばすハイCが輝かしい。10:00過ぎからがよく知られた激ムズアリア部分"Amis, amis"


 

彼はロッシーニオペラの「オテロ」「湖上の美人」「アルミーダ」などで十分有名になっていますが、フランスオペラもよく歌っています。最近録画した「ホフマン物語」を何気なく聞いていて、いい声のテノールだなあ、と思って画面をよく見たら、それは彼でした。

 

フランスオペラとしては「ユグノー」「ロメオとジュリエット」「ファウスト」「マノン」「ギヨーム・テル」「真珠採り」などを歌っています。

 

最近はイタリアオペラもフランスオペラも段々重いレパートリーに移ってきているようですが、彼は英雄的な歌い方をする役でも「甘く、メッサ・ヴォーチェ(声量を落として柔らかく歌う)で歌うことが必要」(Operawire)と考えているようです。

 

彼の声はハリがあって輝かしいので、ヴェルディやプッチーニのさらにドラマティックな役も将来の射程範囲に入っているかもしれません。「椿姫」のアルフレードや「リゴレット」のマントヴァ公はすでに歌っています。近々はカルメンのドンホセを歌う予定で、さらに仮面舞踏会のリッカルドを考慮中だそうで(Operawire)。

 

「湖上の美人」第1幕より "eccomi a voi"

輝かしく超難かしいアリア。


(2021.06.23 wrote) 番外地へ戻る