ナタリー・デセイ(Natalie Dessay)

1965年フランス生まれ。もともとは女優でしたがのちに声楽を学び、フランスの"Les Voix Nouvelles"、ウイーン国立歌劇場の「モーツアルト国際コンクール」のコンクールで優勝し、注目を浴びました。(ナタリー・デセイ フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』2020年10月19日 (月) 10:46‎ )。素晴らしいコロラトゥーラの技術を持ち、「ホフマン物語」のオランピア、「魔笛」の夜の女王役、「ランムルメールのルチア」のルチアなどが有名です。「ラクメ」の「鐘の歌」は素晴らしいです。

MET 「ランムルメールのルチア」狂乱のシーン


もともと女優だったためか芝居がものすごくうまく「歌う女優」として有名でした。

コミカルで実際の夫婦ならではのエロティックな演技がさえるご主人との共演「地獄のオルフェ(天国と地獄)」から「蠅のシーン」。ビデオ (日本語字幕付き) もでています。


しかし度重なる声のトラブルによって降板することも多く、とうとう手術を受けます。一旦復活するもまたもや声のトラブルが再発。とうとう2013年にオペラから引退しました。最近ではリサイタルが主で、クラッシック歌曲以外にポップスなども歌っています。

 

iltrovatoreは2017年4月19日に上演された彼女の来日コンサートを聞きましたがそれは素晴らしいもので、その時の感想は以下の様でした。

 

このリサイタルで最も印象に残ったのはアンコールです。しかも最後の2曲。まさに「息を飲む輝かしさ」で、彼女の歌声は圧倒的な響きをともない、特に弱音高音の響きは歌が終わっても劇場の広い空間を漂い、聴衆はこの響きを聞き逃すまいと緊張し静まりかえっていました。まったく至福の瞬間でめったに聴けないハイレベルな演奏だと思われました。

 

彼女は歌っている間も動き回ります。ドラマティックに演技しながら歌う様子をみていると彼女はオペラの人だったのだなあ、と言う感慨に囚われます。現在の彼女の何とも言えず素晴らしい歌唱力から考えてみても彼女の引退は何とも何とも無念です。

 

彼女は現代オペラに対しても批判的。オペラが自らを新たに再生できるとは考えていない様で (Natalie Dessay : « Je veux m’étonner moi-même ! » Forumopera 2017.3.23)、それがあっさりとオペラを引退した理由の一つかもしれません。

 

なおご主人はフランスのバスバリトン歌手ロラン・ナウリ氏。METビューイングなどでも見かけるお方です。 

(2017.06.04 wrote,  2021.3.12改訂 ) 番外地へ戻る