番外地2:バルトリさんがらみ声の饗宴

チェチーリア・バルトリさん。イタリア人のメゾソプラノ歌手です。昔、チューリッヒの「ニーナ」でカウフマンと共演したことがあります。以前はモーツアルトやロッシーニなどを歌っていました.こちらはロッシーニの「チェネレントラ」。

超絶コロラトゥーラ技術を駆使して歌います。

 

この方、現在はオペラ歌手というよりコンサート歌手として有名かもしれません。マイナーなバロック時代の歌曲コンサートだけで会場を満員御礼にできる世界でも人気の御方です。

 


彼女のコロラトゥーラ技術は驚嘆ものと言って良いでしょう。彼女はバロック音楽の研究家でもあり、忘れ去られたような過去の名曲を掘り出し上演するのでも有名です。(掘り出された難曲はプロの歌手泣かせ)

 

ここで彼女が歌っているのはヴィヴァルディの “Agitata da due venti”  「2つの風によってかき乱される」 と訳せば良いのでしょうか。超絶アジリタ(コロラトゥーラ)技術も驚きですが、それ以上に2つの風に吹き乱されるような相反する心の表現が素晴らしいです。

「バルトリさんってすごいわあ」 と感心してふとYouTube右側にある一つの動画に目が止まりました。それがこの画像。まあ聴いて、見て下さい。

 

なんと驚き、この難曲をバルトリのパロディーでやってのけてくれたコリアンアメリカン、カウンターテナーのジャスティン・キム君です。いやあ、2つの風の一つを自分の地声で歌ったりの大サービス。この曲は半端な技術力では全く太刀打ち出来ません。途中で喉に力が入り、リズムも音程も取れなくなって撃沈しかねない。

 

キム君の技術力恐るべし!際物と言われればそれまでですが、こりゃ、受けますよね。ちなみに彼はカウンターテナーとしての知名度が上がってきているようです。

 

と、これで終わらない。近年ものすごい技術を持ったオペラ歌手が出現してきました。ユリア・レージネヴァ嬢。ロシア人。現在でもまだ27-8歳くらい。この録音時は25歳になっていなかったのではないでしょうか。2015年、ROHの来日公演時にツェルリーナを歌いましたのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。超難度なこの曲を、まあまあ、このなめらかで豊かな歌いぶり!びっくり仰天。(2017.7.25 wrote)