ピョートル・ベチャワ (Piotr Beczała)

 

ポーランド生まれのテノール歌手。1966年生まれで現在52才。若い頃 (1997年から) はチューリッヒ歌劇場のアンサンブルメンバーでした。ちなみにチューリッヒのアンサンブルは昔から一流歌手を輩出しています。ベチャワから少し遅れてカウフマン、グロイスベックなどもチューリッヒのアンサンブルメンバーになっていました。

 

そのためか、昔々ベチャワ、カウフマン、グロイスベックの三人が同じオペラを(リゴレット)をほぼ同じ時期にチューリッヒ歌劇場で歌っていたこともあるのですよ。(想像するにベチャワとカウフマンのダブルキャスト?) 今では皆さん大変有名な人気歌手になりました。

 

彼は非常に堅実、着実という印象でレパートリーの選び方も慎重です。基本リリカルなテノールの立ち位置を崩さず、「ランメルムールのルチア」などのベルカントオペラ、「マノン」や「ファウスト」などのフランスオペラ、そしてロシア語も悠々なのでしょうね、ロシアオペラ「エフゲニー・オネーギン」、そして「ルサルカ」などのオペラのテノール役をじっくりとこなしていました。

MET 2014 「オネーギン」 


しかし50歳前後から次第にドラマチックな役にも挑戦し始め「カルメン」のドン・ホセ、「トスカ」のカヴァラドッシ、「アドリアーナ・ルクブルール」のマウリツィオなど、ヴェリズモオペラにも挑戦を始めています。

MET 2019「アドリアナ・ルクブルール」


彼の挑戦は止むことなく、レパートリーの幅を広げてゆき2016年にはネトレプコとワーグナーオペラ「ローエングリン」を歌っています。

ドレスデン州立歌劇場2016「ローエングリン」


アンナ・ネトレプコとしばしば一緒に歌っている彼ですが、METの常連でもありMETライブビューイングではおなじみの顔で、いつ聞いても安定した癖のない声の持ち主です。これだけスターになっても奢らず気取らず、感じの良いテノールです。この方は「テノール馬鹿」という感じがしませんね。

 

(2019.06.10. wrote, 2021.3.18 revised) 番外地に戻る