「フレディー・デ・トマーゾ」 (Freddie De Tommaso)


1994年生まれ。父親がイタリア人で母親が英国人のイタリア系英国人。

 

彼は王立音楽院を卒業、2018年のフランシスコ・ヴィニャス国際声楽コンクール(バルセロナ)において1位となり、あわせてプラシド・ドミンゴテノール賞、ヴェルディ賞を受賞。2018年にはザルツブルク音楽祭のヤング・シンガーズ・アカデミーの一員となり、2018~19シーズンにはバイエルン国立歌劇場のスタジオに加わっていました。

 

王立音楽院入学当時はバリトンとして歌っていましたが、その後テノールに転向します。 

 

彼は2019年(だったかな?) ROHが日本で「オテロ」公演を行った際、カッシオのカバーとして来日していたらしい。しかし同年の12月にはカバーではなく正式なキャストとしてROHでカッシオを歌っています(1)。

 

更に2021年、不調で降板したBryan Hymelの代役としてROHでカヴァラドッシを歌い、これによって世界的にブレークしました。彼の出演した公演はROHシネマとなりましたので、日本でご覧になった方もいらっしゃると思います。

 

私もこのシネマを観ましたが、彼の声は強くたくましく、しかもなめらかで輝かしく堂々としていました。テノールの中でも希少・貴重なスピント〜ドラマティックテノールです。しかも大柄な体格で(横にも大柄なのが少々問題だが、、、) 演技もまあまあ。世界のトップテノールとなる資質十分と見受けられます。

 

ちなみにROHで英国人がカヴァラドッシを歌ったのは1963年のチャールズ・クレイグ以来で、しかも同劇場でカヴァラドッシ役を歌った史上最年少だそうです(2)。

 

彼はデッカと専属契約を結んでおり(テノールではヨナス・カウフマン以来)、彼のアルバム“Passione”と“Il Tenore”はクラシック・アーティスト・チャートとクラシック・スペシャリスト・チャートで首位を獲得しています。特に彼の「ネッスン・ドルマ」の演奏は、わずか7週間で100万ストリーミングに迫ったそうで、これはパヴァロッティを凌ぐ勢いで滅多に無いことだそうです(3)。

 

彼のCD“Il Tenore”では、彼とともに既に世界のトップソプラノと目されるソプラノLise Davidsenや大型新人のメゾ・ソプラノAigul Akhmetschinaなど、将来のオペラを担う有力若手が共演しており、聞いていてうれしくなります。

 

1. Q&A: Gregory Kunde on the Royal Opera House, Metropolitan Opera, Opera Education & New Roles Operawire 2023.1.29 by Mike Hardy

2.Opera ‘saved’ by 28-year-old tenor as star performer falls ill during Tosca performance, CLASSIC fM 2021.12.9 by Maddy Shaw Roberts

3.Freddie De Tommaso’s ‘Il Tenore’ Album Tops Charts, Outstreams Pavarotti, Operawire 2022.1.3 by David Salazar

 

(2024.06.18 wrote) 番外地に戻る