コメント:「ピーター・グライムズ」"Peter Grimes"  B・ブリテン作曲

 

さほど人気のないブリテン作曲のオペラ。舞台は田舎の漁師町で華やかさとは無縁の世界。主人公のグライムズはこの地域社会の人々から嫌われ除け者にされている気難しい人間。しかも彼が徒弟の死に責任がないかどうか、聴衆にも本当のところはよくわからないので彼に共感するのも難しい、、、。しかしブリテンの音楽は排斥された主人公の孤独な心理、残酷な社会に強要された彼の死の不条理さを浮かび上がらせ観客に複雑な感慨を抱かせる。

 

ブリテンがこのオペラを作曲した当時、同性愛は社会悪でした。同性愛者のブリテン(パートナーはテノール歌手のピーター・ピアーズ)の暗く孤独な心象をオペラに投影させたとも言われています。

 

著作権が生きているので詳しい解説も少なく対訳も無いですが、あらすじは「ピーター・グライムス」(Wiki)。そして 「ブリテンとピーター・グライムズを理解するための五つのキーワード」あたりを参考にされるとよいかと思います。 

 

このオペラで比較的知られているアリアといえば、 "Now the great bear and Pleiades" 「今、地が動き、大熊座とスバルは人の悲しみの雲を描いている・・・」。テノールにとって丁度パッサージョのあたりで歌うのに神経を使うE音、限りなく続くそのE音が不思議な雰囲気を醸し出します。ブリテンは主人公グライムズにピーター・ピアーズを想定してこのオペラを書きました。下に出したYoutube(全曲)の45:10あたりからピアーズが歌うこのアリアが始まります。

 

鑑賞記「ピーター・グライムス」の中にあらすじを少しいれました。興味のある方はご覧ください。