ヨナス・カウフマンの2018年を振り返る

 

iltrovatoreによる公演の記録及び独断コメント

 

今年は:

1. オペラ公演 25回、一幕だけ等のオペラコンサート形式7回(年末の「こうもり」含む)、リサイタル及びコンサート39回。

2. この一年間一度もキャンセルが無かった。←特記事項。 (ただし本年最後の「こうもり」まで出演できれば)←一年間皆勤賞になりました(2018.12.31.)

 

1月 

オペラアリアコンサート、大阪・東京

来日して、イタリア及びフランスオペラのアリアを歌った。

 

このコンサートは2016年11-12月に予定されていたコンサートの再々振り替えで、彼が本当に来日するか半信半疑の人も多かった。チケットが高かった。iltrovatoreが聴くに、彼の調子は良くも悪くも無し、普通の真ん中。参考:鑑賞記「来日コンサート。  

 

リサイタル「美しき水車小屋のむすめ」 、ニューヨーク&サンタモニカ

 

2月

歌曲(ジョイント)リサイタル 「ヴォルフイタリア歌曲集」

ディアナ・ダムラウ、ヘルムート・ドイチュとともにヨーロッパ12都市で歌って廻る。

 

一般的に人気の無いヴォルフの歌曲集だが、エンターテイナー二人の演技付きで人気爆発、殆どの公演は完売だった。この公演のCDは2019年1月発売予定。参考:評論12

 

3月

「アンドレア・シェニエ」、リセウ

サンドラ・ラドバノフスキーとカルロス・アルバレスとともに。3回公演。 参考:評論

 

4月

「トリスタンとイゾルデ」第2幕、 NY&ボストン

カウフマンのトリスタン初ロールで話題を呼んだ。次の第3幕コンサート、そして全幕の上演が待たれる。

 全幕上演があればどこであろうと絶対飛んで行く、と密かに考えている人は沢山いるに違いない。参考:評論12、カウフマンのインタビュー

 

 

「トスカ」、 ハンブルグ

ただ1回の「トスカ」上演。トスカ役はハルテロス。この二人がセットだとチケットは即完売する。参考:評論

 

「アンドレア・シェニエ」、ウイーン

これもハルテロスとの共演。TV放送があった。4公演すべて完売。iltrovatoreも最後の公演を観たが、カウフマン好調と感じられた。参考:鑑賞記評論

 

5月

コンサート “L’Opera” - フランスオペラハイライト

Kate Aldrichとともに。ドイツ、ウイーンで3公演。アンコールで「ホフマン物語」の「舟歌」(ジュリエッタとニクラウスの二重唱)ジュリエッタ(ソプラノ)パートを歌う。 ま、おふざけでしたね。 参考:評論

 

ちなみにこれまでカウフマンが歌ったテノール向け以外の歌あれこれ:

 

ソプラノ:

四つの最後の歌、「ホフマン物語」の舟歌でジュリエッタのパート(アンコールで) 

女声:ヴェーゼンドンク歌曲集 

バリトン/アルト:大地の歌2,4,6楽章

バス:騎士長(声のみの代役)、

ドン・アルフォンソ(「風は穏やかに」の三重唱を映画「カサノバ ヴァリエーションズ」で)

(「映像・音楽」の映画」、「歌曲」、「コンサートのページにカウフマンが歌ったこれらの歌のリンクがいくつかあります)

 

リサイタル 「四つの最後の歌」、ロンドン

昨年キャンセルされた公演の代替え。この歌は普通ソプラノが歌う。 この曲はやはり明るい声のソプラノが合うと思うが、既成概念を破って歌うという柔軟かつ大胆な根性が素晴らしい。実際カウフマンが歌った後、他のテノールもこの歌を歌い始めた。参考:評論

 

6月

“Life + Celebration Concert”、ウイーン

ザルツブルグで一回コンサートの後、欧州最大のHIVチャリティーイベント “Life + Celebration Concert” に参加。修道女姿の女性達に囲まれてごきげん。最後は「サウンド・オブ・ミュージック」から「全ての山に登れ」を歌う。

 

2018.6.19. フランス共和国より: Officier de l’Ordre des Arts et des Lettres 「芸術文化勲章、将校 」を授与された

カウフマンは2011年に同勲章のChevalier、シュヴァリエ(騎士) を授与されている。今回の受勲は一等級上のOfficier (将校)。

 

3等級あるこの勲章で最高位はコマンドゥール(騎士団長)でワルトラウト・マイヤーなどが受勲している。

 

今日はここまで。 (2018.12.26. wrote)


7月

「パルジファル」、ミュンヘン

ゲルハーハ、パーペ、シュテンメ、コッホなどきら星の如き豪華キャスト。えも言われぬ音楽だった。信じられないほどの感動。演出にはけちが付いていたけれど、音楽と乖離する場面もなく、総合的にみれば悪くないと思える・・・趣味の悪い裸と聖杯らしき肉塊(?)を除けば。 全公演完売。参考:鑑賞記評論

 

★「Dolce Vita」 コンサート、ベルリン

ワルトビューネで開催された野外音楽会。悪天候にもかかわらず観客が入っていた。たしか7回位アンコールをやったと思う。メゾソプラノ、アニタ・ラチヴェリシュヴィリと。 「An Italian Night - Live from the Waldbühne]」としてDVD/CD発売済み。

 

★その他ドイツ、スペインでコンサート合計3回。

 

★「ワレキューレ」、ミュンヘン

カウフマン以外にアンガー、コッホ、カムペ、シュテンメ、グバノヴァなど、パルジファルと同様豪華キャストきらきら状態。一回だけのこの公演のチケット争奪戦は熾烈だったらしい。ミュンヘンオペラフェスティバルは世界で最高級の歌手達が勢揃いする。夏の間だけでもミュンヘンに住みたいものだ。 参考:評論

 

8月

★「ワレキューレ」第1幕

2つのフェスティバル "Gstaad Menuhin Festival" &“Grafenegg Festival”にて。

 

★その他コンサート、リサイタル2回

 

9月

★歌曲リサイタルをヨーロッパ各地にて 6回

 

★その他コンサート一回(以前キャンセルされたコンサートの再公演)

 

10月

★リサイタルとコンサート各一回。

 

★「西部の娘」、MET

エヴァ- マリア。ウェストブルック、ジェリコ・ルチッチとともに。4回だけの公演。評論鑑賞記

昔ながらの演出だけれど、1850年代のアメリカ西部を彷彿とさせるMETならではの舞台で、とろけるような歌と演技でカウフマンの魅力全開。ウェストブルックも多分ルチッチも良かった。

 

11月

★「オテロ」、バイエルン歌劇場

アンニャ・ハルテロス、ジェラルド・フィンリーとともに。ペトレンコ指揮。 演出が問題。 演出家はヴェルディ「オテロ」の本筋で勝負せず、音楽的に重要視されていない脇筋 (少々の演劇的新味はある)を無理に強調して演出し、結果的に音楽の力(特に第1幕のオテロの歌唱)を弱めた、とiltrovatoreは考える。

 

とはいえ、歌とオーケストラは非常によかった。このように独善的な演出と歌唱をすりあわせなければならなかったカウフマンは特に大変だったろう。彼および共演者、指揮者の能力に感謝。 評論鑑賞記

 

12月

★オテロ公演の間をぬって「ホセ・カレラスGala」に出演。

 

★バイエルン州より、この州で科学・芸術分野最高の名誉とされるBayerischen Maximiliansorden

を授与される。

 

★FCバイエルンミュンヘンのクリスマスショー(野外)で「きよしこの夜」を歌う。←カウフマンはFCバイエルンの熱いファン。

 

★オペレッタ「こうもり」、シュターツカペレ・ドレスデン

シルベスターコンサートでコンサート形式のオペレッタ「こうもり」に出演。初ロールのアイゼンシュタインを歌う。

 

 

今年発売および発売予定のCD,DVD

 

「オテロ」2015 ROH  DVD/Blu-ray 2018

「An Italian Night - Live from the Waldbühne]」 CD/download/DVD/Blu-ray 2018

「ヴォルフイタリア歌曲集」CD 2019予定

 

(2018.12.30. wrote)

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