今シーズンの出演予定オペラ紹介はずいぶん遅くなりました。何せ先が見通せません。まだコロナウイルスの流行が治まったわけではありませんので9月からの新シーズンが予定通り開催されるとは限りませんが、現在までの予定公演を紹介します。当然ながらかなりの変更があるかもしれないのはご了承ください。
今年は「アイーダ」「パルジファル」「トリスタンとイゾルデ」が新演出です。初ロールはトリスタンです。
追加:バイエルン歌劇場の「ラ・ボエーム」(2020.9.27 wrote)、パリ・オペラ座の「ワレキューレ」(2020.10.6 wrote)
ヴェルディ、ドン・カルロス(フランス語版、5幕)ウイーン国立歌劇場
2020年9月27日, 10月1, 4, 7, 11日
出演予定: Ildar Abdrazakov、Jonas Kaufmann、Igor Golovatenko、Roberto Scandiuzzi、Malin Byström、Eve-Maud Hubeaux, 指揮:Bertrand de Billy、演出:Peter Konwitschny
ヨナス・カウフマンは以前パリ・オペラ座でフランス語版「ドン・カルロス」原典版(バレエ場面なし)を歌っています。ところでウイーン歌劇場では2004年にBertrand de Billyの指揮でバレエ音楽(おそらくバレエは入らない)を含めた原典版(フランス語)が復活演奏されています。今回もその版を使うようです。
参考:オペラ解説「ドン・カルロ」、鑑賞記。
プッチーニ、ラ・ボエーム バイエルン歌劇場
2020年11月22, 27, 12月9日
出演予定:Rachel Willis-Sørensen, Mirjam Mesak, Jonas Kaufmann, Marcello役はN.N. その他
演出:Otto Schenk、指揮者 N.N.
あんれまあ、カウフマンがルドルフォを歌うですと!50過ぎて彼がこの役を歌うとは想像だにしていなかったです。歌劇場が予定していた「カルメル会修道女の対話」がキャンセルされたための代わりのオペラだそうで。
記録を紐解いてみますと、彼が最後にロドルフォを歌ったのは2012年8月ザルツブルク。調子が悪くなり歌えなくなってしまったベチャワの突然の代役で、演技はベチャワ、歌は舞台袖でカウフマンが歌いました。その時の出演者はAnna Netrebko, Jonas Kaufmann (歌), Piotr Beczale (演技), Nino Machaidze, Massimo Cavallettiという素晴らしいメンツでした。
普通歌手がキャンセルして代役だと、聴衆は心の中でブーを叫ぶことが多いのですが、この時は観客のみなさま大喜びだった、とどこかの記事に出ていたのを思い出しました。当時、カウフマンはちょうどザルツブルクで「ナクソス島のアリアドネ」のバッカスを歌っていて、幸運にも「アリアドネ」の公演のない日だったのですね。
ワーグナー、ワレキューレ 演奏会方式 パリ・オペラ座バスチーユ
2020年11月24日, 12月1日(ラジオ・フランスオーディトーリアム)
出演予定:Jonas Kaufmann, Günther Groissböck, Eva-Maria Westbroek, Ricarda Merbeth, Ekaterina Gbanova, Ian Paterson Philippe Jordan指揮
今年の5月予定だったワレキューレはキャンセルされてしまったけれど(私はチケットを買っていた。泣)、一回だけ演奏会方式で上演があります。なかなか良いキャストですよね。臨時に入ったバイエルン歌劇場での「ボエーム」を歌う間をぬって出演します。追記2回ある。
ちなみにヨナス・カウフマン は11月29日にもベルギーでコンサートをやる予定で、11月は22, 24, 27,29日12月1日と歌うので大忙しです。
参考:オペラ解説「ワレキューレ」
ヴェルディ、アイーダ(新演出)パリオペラ座バスチーユ
2021年2月12,15,18, 21, 24, 27, 3月2日
出演予定:Sondra Radvanovski, Jonas Kaufmann, Elina Garanča, Ludovic Tézier, Dmitry Belosselskiy, 指揮:Michele Mariotti。 演出はLotte De Beer。
豪華キャストですがとりわけガランチャのアムネリスが注目の的でしょう。彼女の初ロール。
参考:オペラ解説「アイーダ」、おたく記事「清きアイーダ考」
ワーグナー、パルジファル(新演出)ウイーン国立歌劇場 (詳細)
2021年4月1, 4, 8, 11日
出演予定: Ludovic Tézier、Georg Zeppenfeld、Jonas Kaufmann、Wolfgang Koch、Elīna Garanča、指揮:Philippe Jordan 。演出:Kirill Serebrennikov。
パリの「アイーダ」に続き豪華キャラの「パルジファル」です。これもガランチャのクンドリに注目が集まるのではないでしょうか。テジエのアムフォルタスにも注目。ガランチャもテジエも初ロールのはず。指揮は今年度からこの歌劇場の音楽監督になったPhilippe Jordan。
参考:オペラ解説「パルジファル」、鑑賞記
MET 2013 「アムフォルタス!その傷!」
プッチーニ、トスカ (コンサート形式) ザルツブルグ聖霊降臨祭音楽祭フェスティバル (詳細)
2021年5月24日
出演予定:Anja Harteros, Jonas Kaufmann , Bryn Terfel, Cecilia Bartoli, 指揮:Zubin Mehta
コロナ流行のため今年の音楽祭は中止に追い込まれました。音楽祭主催者が2021年こそがんばらねば、と考えたかどうかは知りませんが、「トスカ」が上演されることになりました。まあ、来年のキャッチフレーズが「ローマに敬意を表する」だからでしょう。このフェスティバルの芸術監督バルトリさんの力か、ハルテロス、カウフマン、ターフェル、と歌手たちは最高。なに!バルトリ さんが羊飼いの少年を歌うですと!これはサプライズ。
参考:オペラ解説「トスカ」、トスカの時代背景とキャラクター紹介:テノール、ソプラノ、スカルピア
ワーグナー、トリスタンとイゾルデ(新演出)バイエルン州立歌劇場 (詳細)
2021年6月29日、7月4, 8, 13, 31日
出演予定:Jonas Kaufmann, Anja Harteros, Wolfgang Koch, Okka von der Damerau、指揮 :キリル・ペトレンコ、演出:クリストフ・ワリコフスキー
7月31日は "Oper für alle"
この公演の歌手達も素晴らしい実力派が揃っている。 カウフマンファンが長年望んできたトリスタンです。確かハルテロスも初ロール。演出がワリコフスキーというのがiltrovatoreには少々不満。でも指揮がキリル・ペトレンコだから文句は言えまい。
プッチーニ、トスカ マドリード、テアトロ・レアル (詳細)
2021年7月19 & 22 日
出演予定: Jonas Kaufmann, Sandra Radvanovsky, Carlos Álvarez, 指揮:Nicola Luisotti、演出はPaco Azorin
カルロス・アルバレスのスカルピアもきっと良いでしょうね。今回の「トスカ」は多数の歌手を取っ替え引っ替えで上演されます。すなわちトスカ役:Radvanofsky, Agresta, Netrebkoの三人。 カヴァラドッシ役:Calleja, Fabiano, Eyvazof, Kaufmannの四人。スカルピア役:Alvarez, Hakobyan, Salsiの三人。もちろんネトレプコが歌うのは夫と一緒の時のみ。よく注意しないと間違えそう。
(2020.09.09 wrote) 映像・音楽に戻る